決算書の読み方・分析の仕方

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決算書とは

決算書とは「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の3つを指します。決算書を読みこなすことで損益状況を時系列に確認したり、企業の行う投資状況を知ることで将来の伸びを予測できます。さらに、自分が投資した企業の業績を把握していれば、日々の株価変動に一喜一憂せず安心して長期投資することができるでしょう。

決算書は3つの項目を見れば概要が掴める

決算書は十数ページ以上と枚数が多く、投資の素人が全て読み理解するには大変です。しかし、その企業の概要を掴むだけなら、決算書の表紙の3つの項目を見ればすぐ分かるのです。

1 連結経営成績
2 連結財政状態
3 連結キャッシュ・フローの状況

連結経営成績」は企業の稼ぐ力に着目した成長性や優良性、「連結財政状態」は財務状況からの健全性、「連結キャッシュ・フロー」の状況は資金の収支からみた継続性を読み取ることができます。この3つの項目を使って企業の健康状態を判断します。

3つの項目を使って企業分析してみよう

決算書の見方の図

サンプルとして2017年のソニーの決算短信で解説していきましょう。決算書の項目は企業によって表現が異なる場合があることに注意が必要です。三角(△)はマイナスを表します。

まず1つ目、連結経営成績(①のエリア)ここで見るのは「売上高」の伸び率です。売上高が20%超なら成長株と考えてよいでしょう。隣の「営業利益」は人件費や材料費など諸々のコスト(販売費及び一般管理費といいます)を差し引いた利益、即ち本業で儲けた利益になります。売上高がよくても経費が嵩めば減少するため、売上高と合わせてチェックしましょう。

売上高営業利益率」は企業の稼ぐ力を表しており、10%超なら優良企業と考えてよいでしょう。逆に3%以下は要注意。この程度だと景気が弱含む局面で赤字転落するリスクが高い。

さらに営業利益率の過去の実績を比べて変化を見てみます。通常は増益企業は利益率が高くなり、減益企業は利益率が低くなります。ただし、時に減益なのに利益率が上がる場合もあります。これは不採算部門の整理や余剰人員のリストラなど、足枷となっていた問題を順調に解決し筋肉体質の儲け構造ができつつあると想定され、買い候補ということができます。

一方、増益なのに利益率が低下している場合は、過当競争に陥って稼ぐ力が低下している可能性があります。この場合は売り候補と言えるでしょう。

2つ目、連結財政状態(②のエリア)では「自己資本比率」を確認しましょう(ソニーの決算書では株主資本比率になっている)。自己資本比率は総資産のうち、借金を除いた資本に当たる自己資本がどれだけ占めるかを表す値で、値が高いほど健全性が高いとみなされます。金融系以外の業種では一般に30~70%に収まるのが平均的な水準。過去と比べ急激に拡大していないか、同業他社と比べて低過ぎないかなど注意しましょう。

3つ目、連結キャッシュ・フローの状況(③のエリア)は企業の資金繰りを示し、

・営業活動によるキャッシュ・フロー(以下、営業活動による…)

・投資活動によるキャッシュ・フロー(以下、投資活動による…)

・財務活動によるキャッシュ・フロー(以下、財務活動による…)

の3つのキャッシュフローがあります。

営業活動による…はプラスになっていることが重要です。ここがマイナスだと家計なら収入より支出が多い状態、連続すれば破産に繋がりかねない。会計上は黒字でも現金収支は赤字で「黒字倒産」に追い込まれた企業もあり重要チェック項目です。

投資活動による…は設備投資の他、株や土地の取得や売却による収支を示します。将来に向けて積極的に投資しているベンチャーなどの成長企業はマイナスになることも多く、マイナスだからといってイコール悪いとはなりません。

営業活動による…と投資活動による…は合わせてフリーキャッシュ・フローと呼ばれ、企業が自由に使えるお金を示す数字です。営業活動による…がプラスであることを前提に、投資活動による…を差し引いても尚プラスであるのが理想的です。

財務活動による…は借入金の増減や配当金の支払いによる現金収支を表します。借り入れが増えればプラス、返済して減らせばマイナスになるため、一般にマイナスが継続すると順調に借金を返済できている状況とみなせます。

大雑把な見方として、営業活動による…がプラス、投資活動による…と財務活動による…がマイナスが成長企業の理想的な組み合わせ、それ以外は営業活動による…がプラスなら投資活動による…と財務活動による…はプラスでもマイナスでも概ねOKという見方をすればよいでしょう。

セグメント情報も確認しよう

セグメント情報とは、企業の経営内容を地域別(国内・海外)や事業部門別の区分しそれぞれの売上高や利益が掲載された情報です(セグメントは区分という意味)。セグメント情報を参照すれば、その企業の主力事業や伸びている分野が把握できます。企業によって省略されたり、形式が異なります。

セグメント情報で確認するのは、部門ごとの売上高と利益の構成比。その企業の全体の事業の中で、どの部門が強く、赤字部門はどこかを確認していきます。さらに部門ごとの利益率も確認しましょう。セグメント情報における利益率はセグメント利益をセグメントごとの売上高で割って求めます。

セグメント利益 ÷ 売上高 = セグメント情報の利益率

注意点としてセグメント利益の計算方法は企業ごとに異なり、営業利益や純利益に近いものであったり、企業独自の計算方法から求められる利益であったりする点です。そのため企業間の比較には使えませんが、部門ごとの収益力の差を読み取ることはできます。

セグメント情報分析は赤字部門を抱える企業に注目する

セグメント情報を分析した時、赤字部門を抱える企業は将来化ける可能性を秘めています。赤字部門が何らかの理由で黒字化の兆しが見えたり、撤退やテコ入れ策で改善の道筋がついたりする動きがあれば、大幅な株価上昇が見込めるからです。

全体的には利益率が低い場合でも、部門別に見て高利益率と低利益率の部門が混在する企業が存在しますが、こういった企業は改善次第で大化けの可能性があります。例えば、A部門とB部門の利益率が共に5%で全体も5%なら、この企業の株価に今後劇的な変化は起きないでしょう。しかし、利益率がA部門が30%、B部門がマイナス15%で会社全体で5%であったなら、B部門が改善されたり事業撤退したりすれば会社全体の利益率が大きく上がりますから、株価の大きな上昇が期待できます。

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