生活保護の扶助基準

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保護基準には二つの性格がある

生活保護はその者の収入だけでは最低生活が営めない場合、不足分を支給します。その保護費の計算の尺度となるものが「保護基準」です。この基準は8種類の扶助別(生活、住宅、医療、教育、介護、出産、生業、葬祭)に定められています。

保護基準には二つの性格があり、一つは「保護の要否を決めるための尺度」、もう一つは「保護費の支給の程度を決めるための尺度」です。前者は最低生活費とその者の収入とを対比し、保護を受けることができるかどうかを決定する基準。後者は保護が決定したケースに対し、現実に保護費として支給する額を決める基準です。

保護基準とは何か?

保護基準は、要保護者の年齢別、世帯構成別、所在地域別などに分けて厚生労働大臣が定めます。したがって保護基準は、まず所在地域別に定められているのが原則です。具体的には生活様式、物価の違いなどによる生活水準の差に応じて、全国の市町村を6区分の級地(1級地-1・1級地-2、2級地-1・2級地-2、3級地-1・3級地-2)に分類し基準額を設定しています。

個々の市町村がどの級地になるかは、各地域の生活実態に応じ厚生労働大臣が決めますが、概ね1級地は大都市及びその周辺市町、2級地は県庁所在地をはじめとする中都市、3級地はその他の市町村となっています。

以下は厚生労働省が公開している全国の級地一覧のPDFファイルです。
市町村の級地一覧表

扶助基準

扶助基準は扶助の数と同じく8つの基準があります。

・生活扶助基準
・住宅扶助基準
・教育扶助基準
・生業扶助基準
・医療扶助基準
・介護扶助基準
・出産扶助基準
・葬祭扶助基準

生活扶助基準

生活扶助基準は、8つの扶助基準の中で最も複雑な基準で、衣食などの日常生活に必要な基本的、経常的経費の最低生活費を表したもの。生活扶助基準の構成は以下の図で表されます。

生活扶助基準の構成図

ア 第1類費(個人的経費)
飲食物費や被服費など個人単位に消費する生活費について定められた基準。この基準は年齢別に表示される。
イ 第2類費(世帯共通的経費)
世帯全体としてまとめて支出される経費。例えば光熱費、家具什器費(かぐじゅうきひ)など。第2類費は世帯人員別に表示される。
冬季においては寒冷の度合いにより、暖房費などの必要額が異なるため、こうした事情を考慮し都道府県単位として地域別に冬季加算額が表示される。
ウ 加算(特別の需要のある者だけが必要とする生活費)
第1類費、第2類費は誰でも日常生活において必要となる最低生活費であるのに対し、特定の状態にある人には特別経費が必要となります。そういった特定の人に限り第1類費、第2類費以外にも実施される支給が「加算」です。
(ア) 妊産婦加算
妊婦及び産後6ヶ月までの産婦に認められます。
(イ) 障害者加算
身体障害者障害程度等級表1級、2級及び3級の身体障害者もしくは国民年金法施行令別表1級及び2級障害者に認められます。
また、重度障害者で家族などが常時介護している場合は、さらに介護のための加算が認められる。
(ウ) 介護施設入居者加算
介護施設に入所している者に認められる。
(エ) 住宅患者加算
住宅の傷病者で栄養補給を必要とする者に認められる。
(オ) 放射線障害者加算
原爆被爆者で重度の障害を有する者に認められる。
(カ) 児童養育加算
中学校修了前の児童の養育にあたる者に認められる。
(キ) 介護保険料加算
介護保険の第1号被保険者で、普通徴収の方法によって保険料を納付する者に認められる。
(ク) 母子加算
児童(18歳になる日以後の最初の3月31日までの間にある者)を養育しているひとり親世帯等に認められる。

住宅扶助基準

賃貸住宅に住んでいる場合、家賃相当額を住宅扶助として認定します。基準額は住む地域で異なりますが、2人以上の世帯は特別基準が適用され、基準額の1.3倍までの家賃が認められる。

最初に住もうとしている地域の級地を調べます。

級地検索

次に扶助金額を調べます。

住宅扶助上限検索(家賃)改正後版

教育扶助基準

教育扶助とは、義務教育の教育費に支給される扶助です。支給方法は現金支給。教育扶助基準は5項目あります。

基準額
学用品、その他の教育費に充てる金額。全国一律、毎月支給される。
小学校:2,150円
中学校:4,180円

教材代
学校指定の教材代が支給される。教科書以外も全児童が必ず購入する物も支給対象。年1回の支給で、受け取るには見積書または領収書が必要になります。

学校給食費
学校給食費が支給される。全額が毎月支給。

通学のための交通費
通学費用が支給される。支給対象は「通学に必要な最小限度の額が全額支給」であり、贅沢な通学方法は認められません。

学習支援費
「教材費」を除く参考書の購入費や課外活動費などを目的に支給されるお金。全国一律、毎月支給。
小学校:2,560円
中学校:4,330円

生業扶助基準

生業扶助とは、世帯の収入増加、自立の助長を促すための扶助。以下の4項目があり、原則として現金給付になります。

小規模な事業を行うための資金を支給する「生業費」
原則45,000円以内、やむを得ない特別な事情がある場合は75,000円以内、全国一律で現金支給されます。

生業に就くための技能や資格の修得費用を支給する「技能修得」
1つの資格につき年76,000円以内が現金支給されます。同一資格は2年まで、3年目移行は支給対象外となります。資格取得に必要な努力を怠っていたと判断されると、全額を返還しなければなりません。

高等学校などの就学に必要な費用を支給する「高等学校等就学費」
生活保護には「教育扶助」がありますが、こちらは小、中学校が対象。高校は生業扶助が支給を行います。支給条件としては高等学校等に就学していること。必要に応じて在学証明書の提出が求められます。

高等学校等就学費は7項目あります。
・基本額(月額)
・教材代
・授業料
・入学料及び入学考査料
・通学のための交通費
・学習支援費(月額)
・学級費、生徒会費及びPTA会費等(月額)

就職が確定して働く際に身の回り品の購入費や交通費を支給する「就職支度費」
就職に必要な物(スーツや靴)の購入費用として支給されるのが就職支度費です。支給条件は被保護者が就職したとき。

支給方法は現金支給。支給金額は29,000円以内、通勤費はベット必要最小限度が支給されます。手続きのために申請書および領収書の提出が必要。

医療扶助基準

生活保護が適用されると、医療費は医療扶助から支払われるため、自己負担なしに保険適用範囲内で必要な医療を受けることができる。

国民健康保険加入者は一旦国保から脱退し、保険証の代わりに医療券を使うことになります。社会保険加入者は社会保険で絵支払われる分を除いた部分に医療扶助が適用される。

また、生活保護以外の医療費公費負担制度が利用できる場合には、その利用を行う必要があります。

介護扶助基準

介護扶助とは、要介護者及び要支援者が最低限度の生活を維持するための介護や支援を、困窮のために受けられない場合、介護サービスや福祉用具の貸与が受けられるようにするための扶助(生活保護法第15条の2)です。

介護扶助は現金支給ではなく現物支給。必要な介護サービスを無償(自己負担無し)で受けることができる。

出産扶助基準

出産扶助とは出産のための扶助。出産の際に定められた額が現金支給されます。出産扶助基準は3項目あります。

基準額
「出産に伴う入院費」と「衛生材料費」以外にかかる出産費の扶助。
施設分娩:245,000円以内
居宅分娩の場合:249,000円以内

特別基準があり、やむを得ない事情により上記金額を超える場合、
特別基準額:293,000円以内
が全国一律で支給される。

出産に伴う入院費
最大8日間の入院費実額が支給される。差額ベッド代等、贅沢なお金は支給対象外。

衛生材料費
ガーゼ、包帯、マスク等にかかる費用を扶助。全国一律5,400円を上限として支給される。

葬祭扶助基準

葬祭扶助は遺族(被保護者)が困窮により葬祭を行うのが困難な場合、国から支払われる扶助です。

1.検案
2.死体の運搬
3.火葬又は埋葬
4.納骨その他葬祭のために必要なもの

2.「下記に掲げる場合において、その葬祭を行う者があるときは、その者に対して、前項各号の葬祭扶助を行うことができる。」

1.保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行う扶養義務者がないとき。 2.死者に対しその葬祭を行う扶養義務者がない場合において、その遺留した金品で、葬祭を行うに必要な費用を満たすことのできないとき。生活保護法第18条。

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