生活保護の判定のやり方

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生活保護判定の原則

原則として最低生活費は世帯単位で計算され(法第10条)、これを「世帯単位の原則」といいます。この原則は生活は通常、世帯単位で行われると考えられるためです。

生活保護における世帯とは、「同一の住居に居住し、生計を一にしているものの集まり」です。すなわち同じ住居に済、生計を一つにしている場合、親族のみならず他人が入っていてもそれらの者全てを一つの単位(同一世帯)と捉えるのです。したがって、保護の要否や程度はその同一世帯を単位として決定されます。

しかし、出稼ぎ者や入院者など、実際には別に住んでいる場合でも、それが一時的なものであり、経済的には他の家族と一体性がありいずれ自宅に帰る場合には、これらの者も同一世帯と取り扱うこととなっています。この取り扱いを「世帯分離」と呼びます。

ミーンズテストとは

補足性の原理は自助努力を求めますが、それを確認するために行われるのがミーンズテスト(資力調査)です。本当に困窮しているか、自助努力は足りているかなど生活保護費を受給する資格を調査します。

資産の活用

代表的な資産に貯蓄、土地屋敷などがあります。保護を受けるにはこれら資産を活用することが求められます。例えば売却して生活費に充てるなどです。しかし、何もかも売却対象になるわけではありません。

最低生活の維持のために活用されており、且つ、処分するよりも保有している方が生活維持および自立助長に実行があがっていると認められるものは処分する必要はありません。 さらに、現在は活用されていないが、将来活用されることがほぼ確実で、且つ、今処分するよりも保有している方が生活維持に実行があると認められるものも処分の必要はありません。これらは抽象的で判断は行政と個々のケースによりけりです。

まず宅地、家屋については、現在居住しており、処分価値と利用価値を比較して処分価値が著しく大きいもの以外については、そのまま保有が認められます。(ただし要保護世帯向け不動産担保型生活資金の利用が可能な者については、当該貸付資金の利用が、生活保護の適用より優先されます)

また、田畑については現在耕作しているなど利用価値が高いもので、当該地域の農家の平均耕作面積までは保有が認められます。

生活用品は当該地域の普及率が70%を超えるものについては、地域住民との均衡などを勘案の上、原則として保有が認められます。

自動車は原則として保有は認められません。しかし、障害者や公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する者等が通勤のため必要とする場合、障害者が通院、通所及び通学のため必要とする場合は保有が認められることがあります。

能力の活用について

資産と同様、それを最低生活の維持のために活用することが要件とされています。現実に稼働能力があり、就労が可能と思われる適当な職場があるのに、どうしても働こうとしない者については、この補足性の要件を欠くものとして保護を受けることはできません。

しかし、働く意思と能力があり、求職活動を行っていても現実に働く職場がないときには、保護を受けることができます。

その他あらゆるものの活用

さらに、補足性は資産、能力だけでなく、その他あらゆるものについて適用されます。例えば、他の公的貸付制度などによって貸し付けを受ければ、現在は元より将来にわたっても十分安定した生活を営んでいける場合には、まず貸し付けを受けて、自分の力で生活が維持できるよう努力する必要があります。

扶養義務者の扶養

生活保護は、民放の扶養義務の規定に着目し、扶養義務の履行を優先させることとしています。扶養義務者から援助を受けても尚、生活に困る場合に保護が行われます。

扶養義務者に関する規定

生活保護に置ける扶養義務の範囲は、民法上の規定における扶養義務の範囲です。

1.夫婦間及び親の未成熟の子に対する関係
2.直系血族及び兄弟姉妹
3.3等身内の親族(叔父、叔母、甥、姪など)のうち特別な事情がある者

他の法律による給付

生活保護は、国の公的救済制度の最終救済制度ですから、他の法律による給付を受けられるなら、まず、その給付を受ける必要があると他法優先の原理を定めています。

具体的には老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、介護保険法などによる措置や給付などを受けることができるときには、これら給付が優先されます。

世帯分離の認められるケース

1.稼働能力がありながら働く努力をしないものがいるとき
その者を切り離して他の家族だけを保護する場合があります。世帯主が健康でありながら正当な理由もなく働かないのなら、世帯主は自己の能力の活用をしていませんから、補足性の原理に照らし保護の要件を欠いていると判断され、保護は受けられません。

保護は世帯単位で判断されるため、このような場合は怠け者の世帯主一人のために、家族全員が保護を受けられないことになります。しかし、これでは他の家族に対し酷い対応になるため、世帯主のみを除外して残りの家族だけを一世帯と捉え保護する場合もあります。

2.被保護者が他の一般世帯に転入したケース
転入した者だけを保護する場合があります。被保護者の中には高齢や病弱などの理由から、自分だけでは生活が困難でやむなく身寄りや昔の友人知人の元に転入する場合があります。このような場合は転入先の世帯員まで同一世帯として取り扱うと、その人々まで最低生活を強いることになります。

そこでこのような場合は、転入してきた要保護者だけ切り離し、その者だけを別の世帯を構えて生活しているものとみなして保護する場合があります。

3.長期入院患者がいるとき
長期入院患者だけを保護する場合があります。長期入院患者を抱えた世帯については、入院者のためにその家族全員が長期間に渡り最低生活を強いられ、ひいては家族全員の自立をも損ないかねない場合があります。

このような場合は、長期入院患者だけを保護の対象として取り扱うことがあります。その他の家族については、できるだけ一般世帯の生活に近い状態で生活させていこうという配慮がとられています。

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